二人目は新藤杏子。
絵を見たことがある人もいるかもしれませんね。
いつもは水彩とインクを紙に染みこませて
淡い水で描いたような人物をモチーフとしていますが
今回は技法を油絵に替えて制作しています。
子供とも大人とも分からない人物のアップを中心に描いていましたが、
徐々に全身を描くことが多くなっていくなかで、
キャンバスの四角では無い、もっと自由な場所で登場人物達を
描きたくなったといいます。
そこで今回はアルマスの奥の壁より長い、4m50cmの巻物に
鳥獣戯画のウサギと蛙のように、生き生きとした人物達を描いています。
巻物を解くごとに現れる、遠くを見つめるもの、バンザイをするもの、
寝ころぶもの、おっかけっこ?をする二人組などなど。
いつもの四角から解き放たれて、元気に動き回る彼らの様子は
観る者の心を暖かくしてくれます。
また、その感情とは裏腹に、ディフォルメされ、所々鮮やかなアザのようにも
見える色彩に彩られた彼らの姿に、若干の後ろめたさにも似た
不安感も感じざるを得ません。
そしてそここそが彼女の絵のとても魅力的な部分となっています。
今までで一番生き生きとした彼らの姿を是非見に来てみてください。